性行為感染症(STD : Sexually Transmitted Disease)とは、性行為によって感染するすべての病気を意味します。つまりいわゆる性病(狭義の性病)とその他の感染症を含みます。
性病とは、法律によって定められた四つの病気です。梅毒、淋病、軟性下疳、そけいリンパ肉芽腫がそうです。この他に、クラミジア、性器ヘルペス、尖圭コンジローム、AIDS、マイコプラズマ、トリコモナス、疥癬、毛虱、ウイルス性肝炎、カンジダ症などが性行為感染症に含まれます。
古典的な性病は段々少なくなりつつあり、その他の病気が、性病に代わる性行為感染症という新名称を必要とするほど、広がっています。
● 梅毒
梅毒トレポネーマという細菌を病原体とする性行為感染症です。ペニシリンが発見されるまでは、治療のすべがなく、恐ろしい病気でした。今では抗生物質によって完治が可能でです。梅毒は潜伏期を挟んで、四つの時期に渡って発症します。症状は感染箇所から全身の皮膚に、さらには内臓にまで広がります。早期発見と早期治療が鍵となります。
● 淋病
最もポピュラーな性行為感染症のひとつです。病原体は淋菌という細菌です。感染はほとんど性交によります。尿道に起こる炎症であることから尿道炎ともいいます。自覚症状は、排尿時の痛みと尿道からの黄白色の分泌物です。放置すれば、精巣や前立腺に合併症を引き起こします。
● 軟性下疳
アフリカやアジアなど、発展途上国にひろくつたわっている病気です。外国から持ちこまれてくる病気と考えてよいかと思います。軟性下疳菌の感染によるもので性交後12-48時間後に1-2cm大の浅い潰瘍が発生し激しい痛みを伴います。抗生物質によって治療します。
● そけいリンパ肉芽腫
日本ではほとんど見られない性病です。第四性病と言われています。病原菌は、クリミジア・トラコマティスというもので、性的接触によって感染します。外陰部につぶつぶができ、次第に大きくなるにつれて痛みも大きくなります。その後、足の付根のリンパ腺が腫れて化膿します。
● クラミジア感染症
クラミジアトラコマチスという病原体による感染である。梅毒や淋病に代わって、性行為感染症の代名詞になっている病気。世界でも日本でも最も多い性行為感染症。自覚症状があまりないゆえに、蔓延する傾向にある。男性は単なる尿道炎である場合が多いが、女性の場合子宮頚管、内膜、卵管、卵巣そして骨盤腹膜炎となり慢性炎症で卵管閉塞や通過障害をおこし不妊症の大きな原因となっている。自覚症状がないのに、大きな危険を孕んでいる病気である。女性優位の病気であるといえよう。
● ヘルペス感染症
ヘルペスウィルスによる感染。口唇ヘルペスと性器ヘルペスという二つのタイプがある。粘膜の接触によって感染する。男性よりも女性の発病率が高い。治療の後もウィルスが体内に潜伏し、再発を繰り返す。痛みを伴う潰瘍、水泡、発熱などの症状が出る。
● エイズ
後天性免疫不全症というのが正式の病名です。免疫機能が極端に低下することによって、身体のいたるところで合併症が生じます。エイズ特有の合併症としてはカリニ肺炎があります。感染は主に血液と精液を媒介とします。したがって、単なる粘膜の接触だけだったら移りません。当初は同性愛者にだけ罹る病気とされたり、麻薬中毒者の静脈注射や血液製剤の使用による感染が問題になっていました。最近は、男女間のセックスや母親から子供への感染も報告されています。
● トリコモナス症
トリコモナス原虫が膣に感染して発症します。症状としては、男性はほとんど無症状ですが、女性では大量の帯下とかゆみが現れます。帯下は多くの場合、黄色く膿のように粘り気があります。また、分泌物が泡沫状になっていることもあります。感染部位は膣や外陰部周辺だけであり、たまに尿路感染があります。性行為によって感染します。
● カンジダ症
多くの病的帯下の原因になっている病気です。カンジダ真菌というカビの一種によって起こります。カンジダ真菌は、もともと外陰部や膣などに住み着いている常在菌です。なんらかの原因でカンジダ真菌が異常繁殖します。異常繁殖の原因は、免疫の低下とされています。おりものの異常によって自覚されます。
● 尖圭コンジローマ
ヒトパピローマウィルス感染による疾患で、症状は米粒大の鶏冠様の突起物です。外陰部(または膣内、子宮頸部など)に発生します。この突起物は単発もしくは多発しますが、多発の場合は整然と密生するといった感じです。
● 毛虱(けじらみ)
人に寄生する虱のひとつで、陰毛のみに寄生します。性交後まもなく激しい掻痒感とともに虱の虫体を肉眼で確認できます。毛じらみは1日数回吸血し、1日に2~3個の卵を産みます。毛根に卵をうみつけるため、剃毛のうえスミスリンパウダーの塗布により治療します。